年末調整や確定申告が近づき、生命保険料控除について考え直す時期になりましたよね。
この記事では、FP技能士の資格を持つ筆者が、生命保険料控除に関する本を5冊読んだので1冊ずつレビューしていきます。
生命保険料控除についてじっくり勉強する機会はあまりないと思うので、もし1冊でも気になる本があったら、図書館などで借りてみてはいかがでしょうか。
本記事では、個人的に「役に立った」と感じた書籍順に紹介します。
図解 わかる生命保険2021−2022年版
- 発行日:2021.6.15 初版
- 発行所:新星出版社
- 著者:編著 ライフプラン研究会
本書で述べられていること
本書は毎年、改訂版が発行されているシリーズなので、最新の法改正・制度改訂にも対応しています。図表もたくさん掲載されているため、表紙の「固そうな」イメージの割に読みやすいです。ただ、文字通り生命保険のしくみについて全般にわたり解説されているので、生命保険料控除に関する記述はごくわずかです。
まずは生命保険にはどんなものがあるか、どのような特長で選んだらいいかなど、全体像をざっくりと理解したい方には向いています。
本書内で興味深かった生命保険についての基礎知識を、以下に一部紹介します。
- 積立利率変動型終身保険は、定期的に積立利率を見直すことにより、保険金額や解約返戻金を変更するもの。メリットとしては不景気時でも最低保障があり、利率が据え置かれるのと、契約当初の保険金額や解約返戻金は支払われる。デメリットは保険料が割高となること。
- 満期保険金受取時の税金(所得税)をなるべく少なくするには、満期の年をずらすようにして年間の一時所得の金額が大きくならないようします。また、保険金の受取人を保険料の支払人と同一に変更します(贈与税の税率が高いため)。
- 個人年金保険も生命保険料控除の対象となるが、控除によるメリットは大した額ではないため加入を悩むくらいは入らないほうがよい。
図解 わかる税金2021−2022年版
- 発行日:2021年5月5日 初版
- 発行所:新星出版社
- 著者:芥川靖彦、篠崎雄二
本書で述べられていること
『わかる生命保険』と同様に、本書も新星出版社による図解本。それぞれの章の内容は浅い反面、カバーしている範囲は広く、税の概要を体系的につかむのには向いています。挿絵やレイアウトは若干古臭く感じるが毎年改訂されているので、情報が古いということはありません。
本書内で興味深かった、生命保険料控除や税についての基礎知識を以下に一部紹介します。
- 生命保険料控除を受けるには、保険金の受取人のすべてが契約者本人または本人の配偶者、親族であることが必要。一部で扱っている保険期間が5年未満の「貯蓄保険」は対象とはならない。
- 給与所得者の場合は、保険料控除申告書の所定欄に控除額を記入し、その年最後の給与の支払いを受ける前に会社に提出して、年末調整の際に控除を受ける。もし年末調整に間に合わず確定申告で控除を受ける場合、申告書に生命保険料控除証明書を添付する。
- 作家の原稿料は事業所得に分類されるが、例えばサラリーマンの常に継続して繰り返されているわけではない原稿執筆による副収入は、副次的なものとして雑所得とされる。
令和3年度やさしくわかる給与計算と社会保険事務のしごと
- 発行日:2001.7.20 初版、2021.5.1 14版
- 発行所:日本実業出版社
- 著者:総合事務所ブレイン 北村庄吾
本書で述べられていること
社会保険事務に初めて携わる社員向けに書かれたものなので、難解な用語がなく、読み進めやすい本です。また、著者は社会保険労務士として実務に携わっているので、実務に役立ちそうな記述も豊富です。
生命保険料控除を利用する側からは覚える必要のない記述もありますが、あなたが社員として年末調整を受ける立場なら、流れを学んでおくことは損ではないと思います。
本書内で興味深かった、年末調整についての基礎知識を以下に一部紹介します。
- 年末調整は、原則としてその年の最後の給与支給日に行うもので、通常は12月の給与で行う。ただし、12月給与の後に賞与が支給される場合は、その際に年末調整を行っても差し支えないとされている。
- その他、イレギュラーな年末調整を行う時期もある。例えば、年の途中で死亡退職した場合、著しい心身の障害のため、年の途中で退職した場合、12月中に支払期の到来する給与の支払いを受けた後に退職した場合などがある。
- その年に支払った保険料や掛金で生命保険料控除の対象となるには、保険金等の受取人のすべてが社員本人または社員の配偶者や親族となっている事が必要です(個人年金保険料については親族を除く)。
図解入門ビジネス 最新生命保険の基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]
- 発行日:2019.7.25初版
- 発行所:秀和システム
- 著者:石橋知也
本書で述べられていること
「生命保険って何?」「共済って何?」といったごく基本的な内容から解説しているので、生命保険についてまったくゼロの状態でも読み進められます。その意味で、生命保険についてある程度知識がある人にとっては退屈な箇所が多いと思います。
ただ、いろいろなタイプの保険について網羅的に解説されているため、保険にはどんな種類があって、どんな特徴があるかをざっくりと理解したいという方には向いていると思います。中には、保険料を得する裏技も一部書いてありましたが、出典が示されていなかったのでよく確認してから利用すると良いでしょう。
本書内で興味深かった、生命保険についての基礎知識を以下に一部紹介します。
- 生命保険は第1分野、損害保険は第2分野とよばれる。医療保険は第3分野とよばれる保険で、入院や手術に対し保険金の給付を行うもの。従来、生命保険会社と損害保険会社はお互いの分野に参入できないという規制があった。その後の規制緩和によって、第3分野の医療保険は双方の保険会社が販売可能となっている。
- 筆者が言うには、最善の保険の選び方は「医療費」「家族の生活保障」「葬式代」の3つに限定し、生命保険に加入すること。すべてに1つの保険で対応するのは不可能。用途に応じて最適な保険を見つけることがポイント。
- 逓減定期保険は、保障金額が徐々に減っていくタイプ。保険金額が定額でない分、月々の保険料は安く抑えることができる。
令和元年分 初心者にもできる 年末調整の実務と法定調書の作り方
- 発行日:2019.11.8 発行
- 発行所:清文社
- 著者:公益財団法人納税協会連合会
本書で述べられていること
本として見ると装丁が安っぽく、セミナー資料を寄せ集めたみたいな印象を受けます。そもそも文章らしい文章はなく、データ集なのでどういったターゲットに、どのように役立ててほしい本なのかもわかりませんでした。ただ、生命保険料控除の「問答集」については、他のどのサイトにも書いていないような事例が書かれていました。
この問答集のうち、本書で初めて知った、興味深かった内容を以下に一部紹介します。
- 生命保険の満期時と死亡時で受取人が異なる場合でも、受取人のすべてが本人または配偶者その他の親族であればよい。
- 年内に生命保険を解約したなど、記載した生命保険料に相違が生じた場合は、確定した払込額に基づいて再計算し、翌年1月31日までに再調整をする。解約割戻金を受け取っていたとしても、実際に払い込んだ保険料であれば生命保険料控除を受けられる。
- 生命保険会社と結んだ生命保険契約であれば、たとえその中に傷害特約(交通傷害特約)に基づく保険料部分が含まれていても全額が保険料控除の対象となる。
- 生命保険契約が満期になり(生命保険料の払込を要しなくなった後)、保険金と一緒に剰余金の支払いを受けた場合でも、払込保険料から剰余金を控除する必要はない。
- 一方で、前納割引や団体割引がある場合、控除対象となる保険料の金額は、契約保険料から割引額を差し引いたものになる。つまり実際に支払われたものに限る(割戻金による割戻しも同様)。
まとめ|生命保険料控除の本はなるべく多く読むことがオススメ!
いかがでしたか?
生命保険料控除は、申請方法が簡単で節税効果が得られるテクニックです。どのような生命保険が対象になるかなどは、本を読むことが有効だと考えます。
なるべく同種の本をたくさん読むことで、具体例などが豊富に得られて理解が深まりますよね。
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