あなたは、映画『TENET テネット』をもうご覧になりましたか?
そして、すべて理解できましたか?
クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』の日本興行収入が20億円を超えました。
これは、同監督の過去最高だった『ダークナイト ライジング』の日本での最終興収をも上回っています(公式サイト)。
世界興収も3億ドルを超え、このコロナ禍にあっては大ヒットとなっています。
筆者は、テネットを2回鑑賞しました。
2回とも、IMAXレーザー/GTテクノロジーという現在の日本での最高水準で鑑賞しました。
今回の記事では、そんな僕が「2回観ても残った疑問3つ」を紹介します。
テネットを観たけどモヤモヤが残っている人への参考になればと思います。
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テネットが難解である理由
この映画が評されるとき、そのヒットを支えている理由でもある「難解である」ことが強調されます。
“時間”を扱うという設定自体が分かりづらいうえに、「順行」と「逆行」の人間が同じ空間にいることで、複雑怪奇な映像となっているのです。
また、登場人物が動機や目的を話す場面がほとんどなく、普通に観ていると「何が起きてるかわからない」状態になる人も多いのではないでしょうか。
これまでも”時間”を扱う作品をいくつも生み出してきたノーラン監督。
今回はそれが映画のテーマそのものとなっているため、特に難しいのだと思います。
疑問❶カーチェイス後の爆破で、窓ガラスが凍るのはなぜ?
疑問その❶は、主人公「名もなき男」(=ジョン・デイビッド・ワシントン)が初めて回転ドアに入った後、高速道路に戻ったシーン。
この高速道路に至るまでの尋問シーンも謎が多いのですが、一番の疑問は、セイター(=ケネス・ブラナー)によって車を爆破された後のシーン。
車が炎に包まれた後、一瞬、窓ガラスが凍っていく様子が見え、その後「名もなき男」は意識を失います。
このシーンについては、「なぜ車は逆行していないのに、車自体に逆行現象が起きるのか」という疑問が湧きます。
一部の考察動画などでも触れている人がいました。
無理やり説明をつけるなら、「寒さを感じて意識を失う『名もなき男』のイメージを映像化した」というようにも見えますが、こじつけ感が否めません。
また、「車自体も大型の回転ドアで逆行させられていた」と主張する人もいるかもしれません。
でも、直前まで通常の外気を燃焼させて走れていたので、車は”逆行車”ではないはずです。
どう考えても理由が成り立たず、これは明確に制作側のミスだと思います。
疑問❷フリーポートで、なぜニールは主人公と合流できたか?
疑問その❷は、撃たれたキャット(=エリザベス・デビッキ)が回復した後、フリーポートの飛行機爆発現場へ再度行って、回転ドアを使い「順行」に戻るシーン。
「名もなき男」は、飛行機の爆発に巻き込まれて室内に入ってしまい、過去の自分自身と揉み合いになります。
そして互角の格闘を繰り返しながら、回転ドアに入って「順行」に戻り、過去のニールが見逃してくれたため、何を逃れました。
その後、建物から脱出した名もなき男は、外で待機していたニール(=ロバート・パティンソン)に合図をして、自らは救急車を強奪します。
合図を見たニールは、自身も回転ドアに入り、「順行」に戻って「名もなき男」と合流します。
このような流れですが、ここに大きな疑問があります。
それは、「合図を見てから回転ドアに入ったニールが、名もなき男と同じ時間軸に戻れるはずがない」ということです。
なぜなら、合図を見た時点では、ニールはまだ逆行状態のままです。
ニール視点では、名もなき男が合図を送った後に建物内に後ろ向きで入っていくように見えるシーンがカットインされますが、これが何よりの証拠。
この時点でニールは「逆行」、名もなき男は「順行」なので、ニールが順行になって追いかけても、同じだけしか時間を進めないため「合流」することはできないはずです。
これは本当に謎のシーンでした。
疑問❸青チームが到着時、車が爆心地から遠ざかるのはなぜ?
最後の疑問は、物語の終盤「スタルスク12」で、アルゴリズム奪還作戦が決行されるシーンです。
爆発を起点として前後10分間ずつの作戦を、赤チームと青チームに別れて行います。
青チームが作戦開始時点で、すでに爆発は「起きている」という設定。
そこから爆発が「起きる前」に遡っていくという時間の流れのはずです。
そのため、青チームが戦場に到着するシーンで、爆発とともにニールが車で「名もなき男」とアイブス(=アーロン・テイラー=ジョンソン)を引っ張り上げる様子も、しっかり描かれています。
この辺りは芸が細かいな、と感心する一方で、逆行視点で見ると「引っ張り上げ」てはいけないはずです。
なぜなら、このときニール達3人は「順行」になっているから。
逆行目線から順行の車を見た場合、車は本来、爆心地である大穴に「近づいて」いかなければならないはずです。
でも、青チームを映した映像のバックで、穴から「遠ざかって」いく車が見えました。
これが僕の見間違いでなければ、細かい芸を披露しようとしたばかりに起きてしまった痛恨の制作ミスだと思います。
まとめ
いかがでしたか?
今回は「【ネタバレあり】テネットを2度観てもわからなかった、3つの疑問|考察」をお伝えしました。
細かい粗を探すような内容になってしまいましたが、これもテネット愛があるからこそ。
僕も見落としたり、勘違いしたりしている部分が大いにあるかと思うので、もし気になる点があった方は、コメント欄またはTwitterでメッセージをいただけると嬉しいです。
これらのシーンは、ソフト化されたらもう一度観返してみたいと思います。
それでは^^
コメント
初めまして。
僭越ながら、疑問点②について私の考えをコメントさせていただきます。
回転ドアを使うタイミングが異なっているとしても、先に回転ドアを使った人間(この場合は主人公)がどこかの地点で待っていれば、後から使った人間(ニール+キャット)と「合流」することはできると思います。
回転ドアを鉄道に例えると、同じ出発駅からそれぞれ違う時刻の電車に乗っても、到着駅が同じならば先に着いた方が待っていることで合流できますよね。
既に解決済みでしたら申し訳ありません。
現在私もこの映画にどっぷり浸かっているところです。考察記事を執筆してくださりありがとうございます。
>高槻 さん
コメントありがとうございます。
おっしゃっている例えはわかりますし、映画で観ているぶんにはさほど違和感がないのですが、
考えれば考えるほど、不思議に思えてしまうシーンです。
映画の中で、「過去のある時点に戻るには、同じだけ時間を過ごさなければならない」という
セリフがありました。
そうだとすると、後からスタートした者は、先の者に追いつくことは不可能ということになります。
回転ドアに後から入ることで、10分先の(時間を遡っている)主人公に会うことは、10分の時間を
スキップしなければ不可能のように思えるのです。
自分が、10分後の自分に会えないように。
TNETの考察は尽きませんね。。。
間もなくBlu-rayが発売されるので、ちゃんと復習したいと思います!