「年収を100万円上げるより、地方に住んで生活コストを100万円下げる方がラク。」
巷にあふれるビジネス書では”ライフハック”の手段として、地方移住の有効性がよく説かれます。
コロナ下で、大企業でも地方へ本社を移転させる動きが出てきています。
でもよく考えると、地方暮らしって意外にコストがかかると思いませんか?
今回は、地方出身でFP2級の資格を持つ筆者が、「地方暮らしはむしろコストがかかるんじゃないか」説を、真剣に考察します。
地方に移住した方がお金がかかる5つの理由

筆者が地方に移住した方がお金がかかると思う理由は以下の5つです。
- 娯楽がない
- 自動車が必要
- アパレルショップがない
- 海外に行きづらい
- 給与が下がる
以下、順番に解説します。
娯楽がない

ご存じだと思いますが、地方には娯楽施設がありません。
例えば休日のレジャーで遊園地や動物園に行くとすると、隣の市や隣の県に行かなければなりません。
また、博物館などの文化施設も、都心部に集中しています。
実際に、文部科学省「社会教育調査ー平成30年度結果」によると、全国に1286ある博物館(美術館や動物園を含む)の、約2割にあたる226館が、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)に所在しています。
娯楽施設が近くにないと、それだけ移動のために費用や時間がかかってしまいます。
自動車が必要

自動車のコストも無視できません。
地方での移動は、クルマが必須です。
購入費用は、中古車を利用することで下げられたとしても、
自動車保険、検査費用、自動車税、駐車場代、ガソリン代、冬用装備、その他消耗品……、と年間を通して出費が嵩みます。
クルマにかかる維持費は、1台あたり年間で30~40万円が相場と言われています。
その点、都心に会社員として勤務すれば、多くの場合は会社~自宅までの定期券が支給されます。
週末でも定期券は利用できるので、移動にかかる実質の負担額はかなり抑えられます。
クルマ自体を趣味にするのなら別ですが、事故を起こすリスクもあるし、クルマを持つ生活は費用対効果が悪いと言えます。
アパレルショップがない

衣服はすべてユニクロやGUで済ますという人なら別ですが、地方にはアパレルショップの数や種類が少ないです。
アパレルショップは、流行りがあるので頻繁にセールを行います。
セール時期に、1日に何店舗もショップを回れば、たとえセンスがない人でも安く、おしゃれなアイテムを手に入れることができます。
近年では衣服をネットで購入する風潮もありますが、着丈や素材感が分からず、リアル店舗はまだまだ廃れることはないでしょう。
ちなみに、1世帯が1年間に支出する衣料品の額は、年間110,097円。
ここ10年間、家計の支出総額の約3〜4%で推移しています。
(データは2人以上世帯の場合。総務省統計局「家計調査(家計収支編)」)
衣料品にかかる支出は意外と多いのです。
これを抑えることができれば節約にもつながります。
海外に行きづらい

現在はコロナ禍で海外旅行をする人も少ないですが、「アフターコロナ」を見据えると、都心に住んでいた方が圧倒的に海外へ出やすいです。
最新の統計によると、日本人全体のパスポート保有率が21.8%なのに対して、東京の保有率は35.,2%で最多です。
地方に住んでいると、海外行きの便が豊富だし、空港ターミナルへ行くのにも時間とお金がかかるため、どうしても国を出るのが億劫になってしまうもの。
ビジネスの成功のためには、海外へ出て見識を広めることは欠かせません。
給与が下がる

厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、令和2年(2021年)の賃金の全国平均は307,700円。
都道府県別では、全国平均を上回るのは東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府のわずか5都府県で、他42の道県は、全国平均を下回っています。
東京や神奈川の会社に所属し、完全リモートワークで高給を得て働ける能力があるなら問題ありません。
しかし、地方の会社に就職すると多くの場合は都市部よりも給与が下がることになるのです。
生活水準を少なからず下げる必要があるでしょう。
【反論】不動産は地方のほうが安い

上述してきた通り、地方移住は必ずしもコスト減にはならないと考えられます。
ただ、それでも地方暮らしのメリットを挙げる人は「土地や建物といった不動産が安い」という1点を主張することでしょう。
もしあなたが「マイホームを持つ」ことを人生のマスト事項と考えているのなら、地方移住は現実的な解となるでしょう。
ただし、土地と建物は利益をもたらす資産ではありません。
建物は、購入した時点からその資産価値が半減すると言われています。
また、土地は比較的、資産価値が減損しづらいとされていますが、国土交通省の調査「都道府県別の変動率と地点数」によると、住宅地の地価が2か年連続で下がったのは、47都道府県のうち24県もあります。
実に半数を超える地方で、地価が下がる傾向にあるのです。
こうしたデータから、「マイホームを持つ」という選択自体が、あまり賢いものとは言えません。
まとめ|地方移住は最適解ではない
いかがでしたか?
今回は「FPが教える!実は地方に移住した方がお金かかると考える5つの理由」をお伝えしました。
生活費や貯金額に不安のある人は、日本FP協会が提供する無料の診断ツール「ライフプラン診断」を試してみてはいかがでしょうか。
年収や貯金額をざっくり記入することで、視覚的に判定することができます。
このブログでは、人生をちょっとだけお得に送るための生活改善情報を発信しています。
よろしければブックマークやTwitterのフォローをお願いします。
それでは^^
■「節約・投資」カテゴリの人気記事はこちら
コメント