医療費(診療報酬)の仕組みは複雑で、一般人は領収証や明細書を見ても、検証がしづらい費用です。でも、時間外等加算がどんなものか分からないまま受診を続けていると、無駄な出費をしているかもしれません。
「時間外」「休日」「深夜」によって医療費がどのくらい高くなるのかや、混同しやすい「時間外対応加算」との違いなどを解説します。
医療機関の時間外等加算とは
医療機関の時間外等加算とは、医療機関が標榜(表示)する診療時間外に受診すると、通常の診療報酬の他に加算される、診療報酬点数のことです。
時間外等加算というと、一般的に「時間外加算」「休日加算」「深夜加算」の3つを指します(または「時間外加算の特例」を含む場合もあります)。
時間外とはいつからいつまで?
時間外等加算についての詳細は、厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」(令和4年3月4日)によって定められています。
要点を表にまとめると、下表の通りです。
時間外 | ・平日:概ね午前8時前と午後6時以降 ・土曜:概ね午前8時前と正午以降 ・(休日加算の対象となる)休日以外の日を終日休診日と届け出ている医療機関における休診日 |
休日 | ・日曜日 ・国民の祝日(元日含む) ・1月2日・3日、12月29日~31日 |
深夜 | 初診が午後10時から午前6時までの間に開始されたとき |
※厚生労働省ホームページをもとに、筆者作成
診療時間内に受付すれば加算されない
上記の時間帯であっても、実際に時間外加算が算定されるかどうかは、「診療時間外かどうか」で判断されます。つまり、もともと診療時間を「午後8時まで」と表示している医療機関を午後6時以降に受診した場合には、時間外加算はありません。同様に、日曜日をもともと診療時間としている医療機関を受診した場合には、休日加算はありません。
また、診療時間内の受診かどうかは、受付をした時刻で判定します。混雑によって診察が遅れ、支払いが診療時間外になった場合は、時間外加算にはあたりません。
ただし、地域の身近な「診療所」の場合は、表示する診療時間内であっても平日の午後6時~翌午前8時、土曜日の正午~翌午前8時、休日、深夜に受診した場合は「夜間・早朝等加算」が算定されます。
時間外等加算でどのくらい高くなる?
時間外等加算により加算される点数は、初診の場合と再診の場合とで異なります。
また、時間外・休日・深夜加算は重複して算定されることはありません。条件が重なる場合には、点数の高いもの1つが加算されることになります。
初診の場合、再診の場合それぞれの時間外等加算の点数と負担額を、下表にまとめました。
区分 | 点数 | 3割負担額 | |
---|---|---|---|
初診の場合 | 時間外 | 85点 | 260円 |
休日 | 250点 | 750円 | |
深夜 | 480点 | 1440円 | |
再診の場合 | 時間外 | 65点 | 200円 |
休日 | 190点 | 570円 | |
深夜 | 420点 | 1260円 |
※厚生労働省ホームページをもとに、筆者作成
上の表は受診者が6歳以上の場合の加算点数です。6歳未満だとより高い点数が加算されます。
医療費(診療報酬)の点数は1点=10円で計算されます。また、実際に利用者が医療機関の窓口で負担する額は、医療費の1~3割です。70歳未満の現役世代の方は、3割負担です。
時間外対応加算との違い
時間外等加算と間違えられやすい算定項目に「時間外対応加算」があります。時間外対応加算は、以前は「地域医療貢献加算」という名称でしたが2012年4月から名前が変わり、紛らわしくなってしまいました。
時間外対応加算は、診療時間内に受付をしたかどうかにかかわらず、要件を満たした診療所を受診した場合にはすべての患者に適用される点数です。ただし、加算されるのは再診の場合のみで初診の場合はかかりません。
時間外対応加算は、診療時間外に患者からの問い合わせ(電話等)に対応する体制を評価するための診療報酬点数なので、体制を整えていれば、実際に患者からの問い合わせがあったかどうかに関係なく、加算されます。
時間外対応加算には、「加算1(24時間対応)、加算2(準夜帯のみ対応)、加算3(輪番制で対応)」の3種類があり、加算点数はそれぞれ5点、3点、1点です。
まとめ|医療費で損をしないように
「時間外等加算」は、受付をした時刻が診療時間外や休日であった場合に加算される金額なので、表示されている診療時間内に来院すれば、基本的にはかかることがありません。ただし、地域の診療所や救急病院などは、表示されている時間内でもかかる可能性があります。
また、「時間外対応加算」は、診療時間であるかどうかにかかわらず、要件を満たした診療所を受診すれば加算されるものです。診療時間外でも問合せに対応してもらえるという目印でもあります。これらの用語の違いをしっかりと理解し、医療費で損をしないように気をつけましょう。
このブログでは、人生をちょっとだけお得に送るための生活改善情報を発信しています。よろしければブックマークや、プロフィールページからTwitterのフォローをお願いします。
それでは^^
▼出典
時間外加算|知って得する!?健康保険|けんぽれん[健康保険組合連合会] (kenporen.com)
令和4年度診療報酬改定について (mhlw.go.jp)
時間外対応加算に名称変更、地域医療貢献加算 | m3.com
クリニックで時間外対応加算を適用する意義・メリットと注意点を解説 | CLIUS クリニック開業マガジン
コメント