ふるさと納税を利用してみたいと思っているけど、いろいろな疑問からまだ始められていない人も多いのではないでしょうか。
今回は、ファイナンシャルプランニング技能士の資格をもつ筆者が、ふるさと納税にまつわるいろいろな疑問にお答えしたいと思います。
ふるさと納税をこれから始めたいと思っている人や、始めたばかりの人に向けた内容です。
ふるさと納税ってそもそも何?
「納税」という名前がついていますが、税制としては自治体への寄附金です。
始まりは平成20年度の税制改正で、翌平成21年度分の個人住民税から、ふるさと納税の制度がスタートしたといえます。
それまで自治体へ寄附を行った場合、住民税で受けられる控除は、寄附金額分の所得控除(税額算定の基礎となる所得額からの控除)とされていました。
所得控除の場合、実際に税金として控除されるのは、寄附金額の約10%に過ぎません。
それだと寄附を行う人はまったく広がっていませんでした。
そこで、より納税者のメリットとなるよう、個人住民税については税額控除へと改められるとともに、特例として一定額までの上乗せがされるようになりました。
さらに、個人住民税の寄附金控除の適用下限額はそれまで10万円と設定されていて、多くの人は利用できない高額な水準でした。
それが平成21年度からは下限が5,000円となり、24年度からは2,000円へとさらに引き下げられました。下限が設けられているのは、少額の寄附が多くなることで、行政の事務作業が煩雑化することを避けるためです。
(参考:「ふるさと納税研究会」報告書)
ふるさと納税とは、従来の寄附金税制を応用し、進化させたもの
どうしてこの制度ができたの?
日本では、都市への住民の集中が際立って増えています。
地方の小さい市町村では、住民がいないため税収が上がらず、住民サービスが低下して住民が流出するという悪循環に陥っています。
そこで、地方への寄附を促進することで、歳入を伸ばし、地域の活性化を促そうとしている制度なのです。
寄附を受けた自治体は、そんなに返礼品を放出しちゃって大丈夫なの?と思ってしまいますが、返礼品は寄附金額の原則3割までと決まっています。
手数料や配送料を除いても、4割以上は自治体の収入となると言われています。さらに、返礼品もそのほとんどが地場産品なので、収入は地域内で還元されることになります。
これは小さな自治体にとっては大きな意味を持つので、いろいろな自治体が返礼品を競う事態になっているのです。
「ふるさと」って生まれた土地じゃなくてもいいの?
寄附なので、ふるさとという言葉は意識しなくて構いません。
多くの人は、リターンを考えて最もお得感のある返礼品を提供する都道府県、市区町村へ寄附をします。
ただ、2017年4月から、返礼品は、寄附金額の原則3割にあたる金額までとなりました。
一部の自治体ではこれに違反し、寄附金控除の対象外として指定されているものもあります。
ただ、「ふるなび」や「さとふる」といったふるさと納税のポータルサイトから申し込む場合は、こういった除外自治体はメニューに現在表示されないようになっているようですので、あまり意識しなくてよいです。
除外自治体はこちら(少なくとも2020年9月まで除外)
除外自治体 | 除外理由 |
大阪府泉佐野市 | 返礼品3割超、ギフト券などを設定 |
静岡県小山町 | 同上 |
和歌山県高野町 | 同上 |
佐賀県みやき町 | 同上 |
東京都 | 申請せず |
寄附の上限額と下限額は?
寄附できる額は、ご自身が納付する住民税額のおよそ2割にあたる額までです。
この限度内に適正に収まっていれば、実質的にかかるコストは自己負担分として設定されている2,000円のみです。
この範囲でいくらまで寄附できるかは、各社が運営するふるさと納税のポータルサイトからシミュレーションができます。
実際にいくら控除されるかはどうやって確認するの?
住民税または所得税から適正に引かれたかどうかは、6月に市区町村から送られてくる通知書で確認することができます。
ふるさと納税ワンストップ特例の申請を行った場合、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から控除されます。
その「翌年度の住民税」から本当に引かれているかどうかは、6月の給与支給時期までに勤務先から受け取る「住民税決定通知書」に控除額が書いてあるので確認することができます。
ふるさと納税はいつ申し込んだらいいの?
ふるさと納税自体は1年中行うことができます。
ただ、筆者としてはぜひ「12月分の給与が確定したタイミング」で行うことをお勧めします。
ふるさと納税でより多くのリターンを得るには、寄付上限額いっぱいまで寄付をすることが必要です。
それには、収入額をなるべく正確に把握すること、つまり年間(1月~12月までの暦年)で一体いくら収入があったのかが分かる必要があります。
もし年始に給与の見込みで計算してしまうと、超過勤務の有無や転職などで給与が大きく変わる可能性もあります。
そのため、年間の給与額が確定するなるべく年末をお勧めします。
また、シミュレーションには、その年の源泉徴収票があると便利です。
シミュレーション結果はあくまで目安となります。
実際の自己負担額は、2,000円を上回ることもあるので注意しましょう
源泉徴収票が翌年にならないと支給されない会社にお勤めの人は、毎月の給与明細を手元に用意しましょう。
ただ、支払い方法が銀行振り込みやコンビニ払いの場合は、支払い完了日が年内以内であることが必要です。
さらに、後述するワンストップ特例制度を使用するときは、申請書が自治体に到着するのが寄付翌年の1月10日までに必着と定められています。
そのため申し込みは12月31日ぎりぎりではなく、12月に入る給与額が確定次第、遅くとも12月25日頃までには申し込み、支払いを完了するようにしましょう。
申し込みサイトがいっぱいある…どれを選んだらいい?
基本的にはどのサイトを使っても返礼品の内容に変わりはないので、自分にあったキャンペーンを実施しているサイトを選ぶと良いです。
筆者は、ふるなびを使用してします。
ふるなびは寄付額やコメント投稿に応じてAmazonギフト券コードがもらえるためです。
Amazonギフト券コードはいくらあっても困らないので、筆者は愛用しています。
返礼品がいっぱいあって迷ってしまいます。
返礼品選びに迷ったら、お米などの食料品、生活必需品を選ぶと良いでしょう。
どうしても2,000円の自己負担は出てきてしまうので、実売価格2,000円以上の商品が手にはいれば、それで元は取れることになるでしょう。
他は自由に選択して良いと思います。
寄附したら次はどうしたらいい?
税金の還付または控除を受けるには、寄付をした年分の「確定申告」または「ワンストップ特例制度」の申請のどちらかをすることが必要です。
このどちらかは、ふるさと納税を利用したら必ず行う手続きです。覚えておきましょう。
ワンストップ特例制度は、平成27年4月から開始された制度です。
対象となるのは以下のいずれにも当てはまる人。
・寄附先が5カ所以下
・年収2,000万円以内で、医療費控除等の確定申告の必要がない給与所得者
わざわざ確定申告を行わなくても、寄附先の自治体に申請書を提出するだけで済む簡易的な手続きです。
まとめ
ふるさと納税は、自身に縁もゆかりもない土地でも、どこでも選べる寄附制度だと覚えておきましょう。
自由に寄附ができて、返礼品ももらえる。国の数ある制度の中でも、ぜひ使ったほうがお得になるものです。
使える人はぜひ利用してみてください。
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