会社が従業員に支給する通勤手当(交通費)は、一定限度までは所得税の課税対象になりません。
その一方で、社会保険料の算定基礎となる「標準報酬月額」には通勤手当も含まれます。そのため、会社の近くに住んで交通費を抑えれば、社会保険料の負担も下げられることになります。
本記事では、このような通勤手当に関する疑問や注意点を解説します。
通勤手当は一定額まで「非課税」


はじめに、通勤手当の基本について解説します。
通勤手当とは、会社が従業員に対して通勤にかかる費用を支給する手当のことです。実際に支給される額は会社の規程によりますが、支給額が一定額以下であれば、通勤手当部分には所得税が課税されません。
その非課税となる限度額は、マイカー通勤者と電車通勤者によって異なりますが、ひと月あたり最高15万円です。

社会保険の標準報酬月額とは

「標準報酬月額」とは、保険料や年金額の計算に用いるために、被保険者が受け取る給与を一定の幅で区分した等級のことです。
厚生年金被保険者の場合は、直近の報酬に応じて1~32の等級で表されます。社会保険料の納付額は、標準報酬月額に所定の料率を掛けて算出されるため、標準報酬月額が上がると、社会保険料が上がることになります。


標準報酬月額が上がることで、被保険者にとってメリットもあります。このことは後述します。
通勤手当は標準報酬月額に含まれる

通勤手当は「標準報酬月額」の計算対象に含まれます。所得税の計算では一定額まで非課税なのに、社会保険料の計算対象になるのは疑問に思えます。
これは、所得税法では「通勤手当」の一部について所得税を課さないと明記されているのに対し、健康保険法や厚生年金保険法での取り扱いが異なるためです。
健康保険法や厚生年金保険法での表現はほぼ同じで、「報酬」は労働の対償として受ける全てのものをいうとされています。
【健康保険法】
e-gov法令検索
第3条
5 この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
【厚生年金保険法】
e-gov法令検索
第3条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
3 報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
このため、所得税では非課税となる通勤手当や宿直料なども、社会保険料の計算では「報酬」として標準報酬月額に含まれて計算されるのです。
標準報酬月額の増加は一部メリットも

標準報酬月額が増加して高い社会保険料を払っても、健康に生活している限りはデメリットしかないように思えます。
ここで、標準報酬月額が増加することによるメリットをお伝えします。
なお、社会保険料には健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料などが含まれます。
将来の年金受給額が増える

標準報酬月額は、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金などの受給額の計算に使われます。
これにより、年金保険料を多く納めた人は、将来より多くの年金を受け取れることになります。
ただし、国民年金の被保険者(自営業者)の場合は所得に関わらず保険料が定額なので、関係ありません。
各種手当が増える
標準報酬月額は、以下のような手当の算定にも使用されます。
- 傷病手当金(病気や怪我で休んだ時)
- 出産手当金(産前産後休業の時)
- 育児休業給付金(一部の共済組合)
このような万が一の事態に遭ったとき、標準報酬月額が高いとより多くの手当を受け取ることができます。
普段は社会保険料が高くなるだけと思いがちですが、上記のような環境に陥りそうな人は、無理に標準報酬月額を抑える必要はありません。
まとめ|会社から遠い駅に住むと、デメリットが大きい
いかがでしたか?今回は「会社から遠い駅に住むほど、社会保険料が高いってホント⁉通勤手当の落とし穴」をお伝えしました。
通勤手当が増えることで、標準報酬月額が増え、社会保険料の増加につながることがわかりました。
標準報酬月額の増加は時にはメリットにもなり得ますが、筆者はデメリットの方が大きいと考えます。このメリットデメリットの双方を見極めて、家賃や通勤時間も含めて総合的に家選びに役立てることをお勧めします。
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それでは^^

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